この記事では「ジャンプ」に特化した情報を理学療法士目線で解説したものであります!

もっと高く飛びたい
リバウンドで負けたくない
ダンクができるくらいジャンプ力を上げたい
バスケットしてるなら誰しも思ったことがあると思います
そんな悩みを解決できる手助けになればと!
はじめに
そもそも「ジャンプ」ってなに?
辞書によると「身体に上向きの力を発生させて、自分の体を地面から離す動作」です。
人間は自分の身体を空中に浮かせるために、地面を強く押します。
すると、地面から身体には反対方向の力が返ってきます。
つまりジャンプでは
地面を押す
↓
地面から反対方向の力を受ける
↓
身体が上方向へ加速する
↓
足が地面から離れる
↓
空中へ飛び上がる
という流れが起こっています。
ジャンプで重要なのは「力」
ジャンプ力を考えるうえで重要なのがどれだけ大きな力を、どれだけ速く発揮できるかです。
単純に筋肉が大きければ高く跳べるわけではありません。
例えば、「スクワットではかなり重い重量を持ち上げられるのに、ジャンプはそれほど高くない」という人もいます。
これは、ジャンプでは単純な「最大筋力」だけではなく力を素早く発揮する能力が重要だからです。
この能力は一般的に(Rate of Force Development:力発揮速度)という考え方で表されます。
ジャンプは「足だけ」の運動ではない
ジャンプというと、「太ももとふくらはぎを鍛えればいい」と思われがちです。
しかし、実際には身体全体を使っています。
ジャンプでは主に
- 足関節
- 膝関節
- 股関節
- 体幹
- 上半身
これらの関節が連動して動きます。特に重要なのが、股関節・膝関節・足関節の連動です。
これらをまとめて、トリプルエクステンションと呼びます。
トリプルエクステンションとは?
ジャンプするときには、
股関節を伸ばす
+
膝関節を伸ばす
+
足関節を底屈する
という動きがほぼ同時に起こります。
つまり、股関節 → 膝 → 足関節という身体の連鎖を利用して、地面へ力を伝えます。
さらにジャンプでは非常に多くの筋肉が働きます。
代表的なのが、
① 大殿筋
股関節を伸ばす代表的な筋肉でジャンプするときに、身体を上方向へ押し上げるために重要になります。
② 大腿四頭筋
太ももの前側にある筋肉です。膝関節を伸ばす働きを持ち、ジャンプの踏み切りで重要になります。
- 外側広筋
- 内側広筋
- 中間広筋
- 大腿直筋
③ ハムストリングス
太ももの裏側にある筋肉で、股関節や膝関節の動きに関与し、ジャンプ動作における下肢の連動にも重要です。
④ 下腿三頭筋
ふくらはぎの筋肉で、腓腹・ヒラメ筋で構成されています
足関節の底屈に関与し、踏み切りの最後に地面へ力を伝える重要な役割があります。
「しゃがんでから跳ぶ」のはなぜ?
ジャンプするとき、多くの人は自然に一度しゃがみます。
これは非常に重要なポイントです。
ジャンプでは、
沈み込む
↓
切り返す
↓
一気に伸び上がる
という動作が起こります。
この「沈み込み」の動作では
- 股関節屈曲
- 膝関節屈曲
- 足関節背屈
が起こります。
その後に
- 股関節伸展
- 膝関節伸展
- 足関節底屈
に素早く切り替えます。
このような、「伸ばされてから、すぐに縮む」という筋・腱の働きを利用した仕組みが、ジャンプでは非常に重要です。
これが「SSC」
ジャンプを理解するうえで外せないのが、SSC(Stretch-Shortening Cycle)です。
あまり聞き慣れない言葉かと思いますが、日本語では「伸張-短縮サイクル」と呼ばれます。
簡単に言うと、筋肉や腱を一度伸ばしてから、素早く縮ませることで大きな力を発揮する仕組みです。
例えば、その場からいきなりジャンプするより、一度しゃがんでからジャンプしたほうが高く跳びやすいですよね。
これは、身体がSSCを利用しているためです。
バスケットボールのジャンプでは、この能力が非常に重要になります。
「筋力」と「ジャンプ力」は同じではない
ここがトレーニングを考えるうえで重要です。
ジャンプ力には、筋力だけではなく、力を素早く発揮する能力、身体を効率よく連動させる能力、腱の弾性、ジャンプ技術など、さまざまな要素が関係します。
そのため、「筋トレだけすればジャンプ力が上がる」とは限りません。
例えば、
スクワットなどで大きな力を発揮する能力。
↓
爆発的な力発揮
その力を短時間で発揮する能力。
↓
反発能力
SSCなどを利用して素早く力を発揮する能力。
↓
ジャンプ技術
全身を効率よく連動させる能力。これらを組み合わせることが重要です。
バスケットボールでは「跳ぶ」だけではない
ジャンプそのものだけではなく「着地」も非常に重要です。
- リバウンド
- ジャンプシュート
- ブロック
- レイアップ
- ジャンプボール
など、さまざまな場面でジャンプをします。
しかし、ジャンプするたびに必ず「着地」があります。
着地では、足関節 → 膝関節 → 股関節などで衝撃を吸収します。
そのため、「高く跳べる身体」だけではなく、「安全に着地できる身体」を作ることも重要です。
特にバスケットボールでは、ジャンプと着地を繰り返すため、下肢への負担を考える必要があります。
理学療法士が考える「ジャンプ力」
理学療法士の視点では、ジャンプ力を単純に「筋肉が強いかどうか」だけでは考えません。
例えば、
● 股関節の可動性
● 足関節の可動性
● 下肢の筋力
● 体幹の安定性
● 左右差
● 動作のタイミング
● 着地動作
● 疲労によるフォーム変化
など、身体全体の状態を確認します。
つまり、「どこが弱いのか?」だけではなく、「どこで力が逃げているのか?」を見ることが大切です。
ジャンプ力を上げるには何をすればいい?
ジャンプ力を高めるためには、目的に合わせてトレーニングを組み合わせることが重要です。
例えば、
① 基礎的な筋力を高める
● スクワット
● ブルガリアンスクワット
● デッドリフト
● ヒップリフト
など。
② 爆発的な力発揮を練習する
● ジャンプスクワット
● カーフレイズ
● パワー系トレーニング
など。
③ 反発能力を高める
● バウンディング
● デプスジャンプ
● ボックスジャンプ
など。
④ ジャンプ技術を練習する
● 腕の振り
● 踏み切り
● 股関節・膝・足関節の連動
● 空中姿勢
など。
このように、「筋力 → 爆発的な力発揮 → 反発能力 → ジャンプ技術」
というように段階的に考えると、トレーニングの目的が分かりやすくなります。
まとめ
ジャンプとは、単純に「足で地面を蹴って飛ぶ動作」ではありません。
ジャンプでは、
地面を押す
↓
床反力を受ける
↓
股関節・膝関節・足関節を連動させる
↓
全身で力を素早く発揮する
↓
身体を空中へ加速させる
という複雑な運動が起こっています。そして、ジャンプ力を高めるためには、筋力・爆発的な力発揮・SSC・身体の連動・ジャンプ技術などを総合的に鍛えることが重要です。
さらにバスケットボールでは、ジャンプする能力だけではなく、安全に着地する能力も忘れてはいけません。
「高く跳ぶ」だけではなく、「効率よく跳び、しっかり着地する」
ところまで考えることが、バスケットボール選手の身体づくりでは重要です。
次の記事では、実際にジャンプ力を高めるためのトレーニングを、理学療法士の視点から「筋力・爆発力・反発力」の3段階に分けて解説します。

